映画レビュー 「AKB48」激動の2010年の記録!『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』


2010年、もっとも飛躍を遂げた芸能人といえばやはり「AKB48」だろう。

各メディアへの露出はもちろんのこと、不可能と思われたCDシングルのミリオンヒットも達成、たとえメンバーとの握手を求めてAKBオタが何枚CDを購入したとしても、このご時世でミリオン達成、さらに年間ワンツーフィニッシュという数字はダテではない。
道行く人から聞こえてくる会話からも「AKB」という単語が飛び出すのはごく普通のことになってしまった。

そんな彼女たちにとって激動の年だった2010年。彼女たちが2010年をどう過ごし、そして「これからの自分たち」について何を考えているのか。それを切り取っているのが、この『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』である。

作品はメンバーへのインタビューと舞台裏の密着取材の映像を中心に展開していく。
インタビューの対象は総選挙の上位メンバーに加えて、新メンバーの横山由依まで10数名。

ちなみに筆者の「AKB48」のメンバーに対する知識は、総選挙のTOP10くらいのメンバーなら顔と名前を認識していて、「ヘビーローテーション」をヘビーローテーションしたという程度。作品に出てくるメンバーに関しては2~3人を除いて認識できたので、すんなりインタビューを見ることができた。

考えてみれば去年にその人気が大爆発したとはいえ、初期メンバーはデビューから5年という月日を過ごしているわけで、「芸能界での成功を目指してAKBになったメンバー」がいれば、「AKBになりたくて芸能界に入ったメンバー」まで、新旧メンバーの活動に対する価値観もまったく異なるものになっていたのが興味深い。

さらに今まではテレビに出てくる「AKB48」という大枠でしか彼女たちを見ていなかったのだが、彼女たちにとっては「AKB48」の一員である前に、それぞれの所属である「Aチーム」「Kチーム」「Bチーム」の一員である認識とその対抗心がことのほか強い、ということも新たな認識だった。

本作は記録映画という「ドキュメンタリー」の体裁をとってはいる。

主要メンバーが現在の自分と今後の自分について赤裸々に語る映像からは、メンバー同士の関係性だけでなく、友情、そして野心までもが見え隠れしていて、結果的「AKB48」をよく知らない人でも彼女たちについて深く知ることができる作りになっている。

もちろんアイドルという存在である彼女たちを魅力的に撮影すること自体は悪くない。

ただしドキュメンタリーにおいて、偏った目線ならまだしも、演出はやはりタブー。
インタビューの順番や内容、撮影場所の選択など、これはこれで立派なプロモーション映像になっているあたりが、さすがは秋元康、と思ってしまうのは考えすぎか。

しかしインタビューの物量はかなりのものだし、一流のスタッフに支えられて精力的に活動する彼女たちからは、「今のトップアイドル」に値する魅力が全身からあふれているし、「AKB48」という存在に対して多少なりとも興味があるならば、今だからこそ見ておくべき1本に他ならない、というのもまた事実。

レビュアー:稲生稔

YouTube AKB48 公式チャンネル AKB48 Official Channel!
http://www.youtube.com/user/AKB48
公式Twitter
http://twitter.com/AKB48_2010movie

『DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少たちは今の自分に何を思うのだろう?』
2011年1月22日(土)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほかにて全国公開
製作総指揮:岩井俊二 企画:秋元康 監督:寒竹ゆり
製作:窪田康志 新坂純一 茂手木秀樹 岩井俊二 プロデューサー:古澤佳寛 野上純一 高橋信一
撮影:神戸千木 取材:加藤 肇 北川亜矢子 編集:寒竹ゆり 整音:久連石 由文
企画・制作:ロックウェルアイズ 協力:KRK PRODUCE 東京フィルムセンター映画・俳優専門学校
製作:AKS 東宝 NHKエンタープライズ ロックウェルアイズ
配給:東宝映像事業部
公式サイト:http://www.2010-akb48.jp
(C)「DOCUMENTARY of AKB48」製作委員会

コメント

タイトルとURLをコピーしました