【イベントレポート】シネマノヴェチェント『初夏のモンスター祭』にジャンクハンター吉田が登場!

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横浜にあるこぢんまりとしつつも異色の空気を放っている映画館「シネマノヴェチェント」。映画館に入るとレトロなポスターやスチールが我々を出迎えてくれる。わずか28席ほどの小さな映画館だが、椅子はゆったりとしていて非常に快適にマニアックな映画を楽しめるように工夫されている。

7月3日(日)に「初夏のモンスター祭」と題し、「ザ・クロコダイル」「モンスターオブレジェンド」「グリード」「メガスパイダー」というB級モンスター映画4タイトルが一挙上映され、シネマノヴェチェント支配人 箕輪氏とジャンクハンター吉田によるモンスター映画トークショーが実施された。

[取材・文:畑史進]

トークショーでは上映されたモンスター映画や古今東西のダメな映画たちを紹介し、吉田は「ダメな映画はツッコミを入れながら観るのが楽しい」と自身がダメ映画を観る際の心構えを語った。

話は多岐にわたり、初期の3D映画「13日の金曜日 Part3」や、「ジョーズ3D」にまつわる思い出や、幼いころの映画視聴体験などを熱く語り合った。「サメ映画」の話題になると吉田は「ダメな映画には「ジョーズ」の楽曲を使うと盛り上がる」と力説。映画は音楽に左右されるところが大きいとコメントした。

■ジャンクハンター吉田による「モンスター祭」ランキング!

1位:「メガスパイダー」
いろんな映画のエッセンスが入っているので色々面白かった。モンスター系でスローモーションを使うとは思わず不意打ちを食らった。原題は「ビッグ アス スパイダー」巨大蜘蛛のデカケツだが、伏線になっているのもポイント!このプログラムで一番最後に選んだのは良いチョイスだと思う。

2位:「ザ・クロコダイル」
字幕よりも吹き替えのほうが面白かった。「ダックハント」をパチモノのファミコンを使ってプレイしていてそれが後半への伏線となっていて驚かされた。ただし任天堂法務部が目をつけると消えてしまう可能性あり!ワニ映画はやっぱり「クロコダイル・ダンディー」のイメージが強い。

3位:「モンスターオブレジェンド」
王道のホラー映画を踏襲しているのが良い。ジャケットの裏の「ハイスピードクリーチャー」については、早いのは蔦くらいだから完全に騙された。何度観ても感じたのだが、おそらくクライマックスシーンの爆発に全てをかけている。そういう意味では合格点。吹き替えを入れなかったところは非常に残念!

4位:「グリード」
虫が多いんで観ていて非常に痒くなった。唯一良いところを上げるなら、貧弱ではあるけれど、ビキニのお姉ちゃんが出てくる所は明らかにスタッフがいい思いをしたいが為に違いない!あと監督がエンドクレジットに言い訳をするのはもったいない!無駄なところが多いのそこをカットしていくと30分位なのでアトラクションムービーとして考えると良いところもある。因みにCGが4作品の中でチープなのは「つや消し」を使っているため、3DCGを目的として作っている可能性がある。ただしこの映画祭じゃなかったら観ることはなかった。

最後には吉田がお勧めするこれを観ずに死ねない一本として『ブロブ/宇宙からの不明物体』(1988)を推した。「クライマックスでブロブが映画館を襲うシーンがあるんだけど、映画館という閉鎖空間で観ている状況が自分と重なる恐怖感が面白かった。1988年版はブロブが細菌兵器だったのは受け入れられないが、ショウニー・スミスがその後はソウ・シリーズで活躍しているところが良い!」とコメントした。

つづいて箕輪氏は『キラー・ビー』(1976)を推した。「パニック映画好きとしてはアーウィン・アレン監督は大好きで、当時とても期待した「スウォーム」(1978)という大金をかけた蜂映画がありましたが、「キラー・ビー」はTVムービーのローバジェットながら、「スウォーム」と比較するとアイディアと緊張感、面白さが全然違っていた。あの予算で「キラー・ビー」が何本作れるか・・・。共通語でベン・ジョンソンなのもポイントです。」とコメントした。

■シネマノヴェチェント支配人 箕輪克彦氏 インタビュー

―――シネマノヴェチェントを設立されるに至った経緯を教えていただけますか?

箕輪氏:もともと川崎の方で「シネマバー ザ・グリソムギャング」というものをやっていまして座席数が21席でバーも併設していたんです。そこで11年やっていたんですが、建物の老朽化で取り壊すことになり、比較的安くて広いところを探しました。映写室も以前はとにかく狭くてポータブルの映写機しか置くことが出来なくて、2台で切り替え方式でやっていたので、1ロールで映写機が入るところが欲しいなと思ったんです。そこで家賃は前と同じくらいで理想の場所を探したのがここだったんです。

―――映画の選別の基準は何ですか?

箕輪氏:一番はやっぱりお金の問題です(笑)まえの「ザ・グリソムギャング」をやっていた時には別の仕事もしていて、その収入をブチ込んでいたのもあって好きなものばかりやっていたんです。配給会社さんからフィルムを借りるわけなんですが、メジャーなものは料金が高いので、何万もかけて借りてバックは何千円ていう具合で脇の収入で補填していわけですが、これを生業とする以上キャッシュフローも考えなくてはいけない。そこで最初に仕入れを安くしないといけない。そうなると作品も限られてくるんですよね。まぁ幸い僕もメジャーな作品もそこまでやる気はなく、映画は広くなんでも観るようにしているんです。

―――B級映画の魅力は何でしょうか?

箕輪氏:改めて言われると考えたことないなぁ・・・。B級映画の定義にもよるんですが、A級と比べると遥かに低予算で、大掛かりな仕掛けや役者もオールスターというわけではないけれど、限られた範囲内で頭を使って作っているところだと思うんです。映画の面白さというのは、体を張っているところもあるけど、上手く作っているところがB級映画は見やすいと思うんです。もちろんA級映画も面白いんだけど得てして金をかけた分、おんぶにだっこで大味な作品になるケースがありますよね。

―――8月後半の予定を見ていると「河童のクゥと夏休み」や「大魔神」といったラインナップですが、これは子供をターゲットに見据えてのことでしょうか?

箕輪氏:全然子供なんか観に来ませんよ!「ザ・グリソムギャング」の時から毎年夏には「河童のクゥと夏休み」をやると宣言しちゃったんです。それをずっと続けて今年で5,6回目くらい。監督も「今年も行きます」なんて観に来てくださるんです。それに毎年ゲストも増えているんです。毎年同じじゃあれだろうということで、新しい顔で役者さんやスタッフさんが全部で7人くらい、壇上に上がれないくらいになっちゃったんですよ。今年もどうしようかって悩んでます(笑)。
「大魔神」に関してはもともとウチには特撮のファンが多いんです。「ザ・グリソムギャング」が軌道に乗ったのは特撮映画のおかげなんですけど、主にゴジラをはじめとする東宝の特撮映画ですね。ところが今年は「シン・ゴジラ」が公開されますが、ゴジラ関係の新作が公開されるとその公開前後は半年くらい作品を売り止めにするんです。とりあえず10月まではゴジラ関係は上映できないんですよ。そこで5月は「決闘!南海の大怪獣」をやったんです。月に一回は特撮を入れるようにしていてネタがなくなってきてどうしようと思った時に、「大魔神」は今年50周年だからそれをやろうと思っただけなんです。ただそれだけです。

―――自由な感じでいいですね

箕輪氏:限られた枠の中で映画を作るのと同じで、予算がなく外的な要素もある中で何をやろうかなという時に、これぐらいしかないだろうというだけでやっている。それでも実は選択肢はいろいろあって、先月実は特撮の中でもインディーズの特撮をやったんです。

―――宣伝等ありましたらお願いします。

箕輪氏:まぁ来ていただけたら嬉しいというくらいしかないんですが、基本的にはワンオペで平日は回しているので忙しくてお相手出来ないので週末に来ていただいてお金を落としていただけるとありがたいです。また、これからの目標といたしまして、1年に1本は洋画を1本自社配給したいという野望を持っております。今年は諸事情でやりたい物の権利が取れなかったりして滞ったので、国内でも日の当たらない作品を上映しています。まぁなんにせよお金がないんで必ず損をするんです。毎回回収率10%以下で、そこで損するものに出資しようという物好きな人がいないので、せめてウチが潤うことができればと思っているんです。もちろん出資していただいても構いません!その代わり戻ってきませんが(笑)。だけどそういう奇特な方もいらっしゃるんです、大歓迎ですよ。

■シネマノヴェチェント
http://cinema1900.wix.com/home

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