映画レビュー ブッ飛んだ傑作!!『MAD探偵 7人の容疑者』




2007年の東京国際映画祭で上映されたジョニー・トー&ワイ・カーファイ監督コンビによる『MAD探偵 7人の容疑者』がついに日本公開です。
香港で実際に起こった警官同士の拳銃強奪事件をベースにしつつ、そこに「もしもゴッホのような天才且つ狂人が刑事だったら」というドリフもびっくりな設定をミックス。その結果、かなりブッ飛んだ傑作に仕上がりました。主人公のバン刑事(ラウ・チンワン)は、自分自身を被害者と同じ状況に置くことで犯人が誰だかわかる天才的な推理力の持ち主。しかし、スーツケースの中から遺体で見つかった女子高生の事件があれば、スーツケースの中に入って階段を転がり落ちたり、独りジャッカス状態のバン刑事はそんなこんなで精神を病んでしまい、警察をクビになってしまいます。
そして5年後、かつての後輩ホー刑事(アンディ・オン)がバンの住むマンションを訪れます。一年半前、金属窃盗犯の張り込みを行っていた二人の刑事、コウ(ラム・カートン)とウォン。容疑者を追って森に入った二人だったのですが、取り逃し、なぜかウォン刑事が失踪してしまったのです。その後、拳銃を使った連続強盗殺人事件が発生。その銃がウォン刑事のものだったので話はややこしくなってきます。暗礁に乗り上げたこの事件の解決の糸口をつかもうと、ホー刑事はバンに捜査協力を依頼しにやってきたのです。
二人は早速、捜査を開始。ここからバディムービーになるのかと思いきや、そうはいかないのがこの映画。バンは奇行を繰り返し、ホー刑事は「こいつ、マジで頭おかしいんじゃねぇの….」とビビリだす始末。バンは他人の別の人格が見える特殊能力も持っていたのです。さらに二人が追う容疑者は7重人格(!!)だったから、さぁ大変。7人の俳優がそれぞれの人格を演じます。気弱な人格を演じるのは、ジョニー・トー映画ではすっかりお馴染みのラム・シュです。
尾行シーンでは7人がゾロゾロと連なって歩き、口笛を吹けば合奏になり、車にすし詰め状態で乗ったりと、かなりシュールな画面が展開していきます。
これはひょっとしたらトンデモ映画なんじゃ・・・・そんな不安が頭をよぎりますが、大丈夫!!バンが元妻に捧げる一途な愛にホロリとさせられ、ラストの鏡を使った銃撃戦もスリリングでカッコいい!!
必見です。
レビュアー:ミヤヂ


『MAD探偵 7人の容疑者』
新宿K’s Cinemaにて公開中!!
「ヤツは七匹の鬼に操られている・・・」失踪した刑事、その拳銃による連続強盗殺人、公職を追われた異能のプロファイラーが治安を揺るがす真実を見た時、善と悪のバランスが脆くも崩れ去って行く・・・5年前、西九龍署・刑事課へ配属された新人のホー刑事は、そこで奇妙な犯罪検証を行う先輩のバン刑事に出会う。我が身を殺人被害者と同じ状況に置くことで、奇妙にもバンは真犯人を突き止めていた。時は流れて現在。数々の奇行が原因で刑事をクビになったバンのマンションへ、かつての後輩ホー刑事が現れる。バンの洞察力に畏敬の念を抱いていた彼は、暗礁に乗り上げた失踪事件解決の糸口をつかもうと、意見を求めにやって来たのだった・・・。
【キャスト】
ラウ・チンワン/アンディ・オン/ラム・カートン/ケリー・リン
ラウ・カムリン/チョン・シウファイ/ラム・シュ
【スタッフ】
監督:ジョニー・トー、ワイ・カーファイ 脚本:ワイ・カーファイ、アウ・キンイー
撮影:チェン・シウキョン 編集:ティナ・バズ 美術:レイモンド・チャン
音楽:グザヴィエ・ジャモー
2007年香港作品/89分/デジタル/シネスコ/カラー配給:彩プロ
宣伝:アルゴ・ピクチャーズ
(C)2007 One Hundred Years Of Film Company Limited All Rights Reserved
「MAD探偵 7人の容疑者」公開記念、スペシャルイベント開催決定!!
詳しくは公式サイトにて http://www.mad-tantei.com/

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