映画『レイキャビク・ホエール・ウォッチング・マサカー』公開記念 裕木奈江さんインタビュー

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6月4日より公開となるアイスランド産ホラー映画『レイキャビク・ホエール・ウォッチング・マサカー』。本作に出演している裕木奈江さんに、出演の経緯と、撮影の裏側についてお話を伺ってきました。

—今は、主にアメリカで活動されていらっしゃるんでしょうか。
裕木さん「1年のうち、2・3ヶ月は日本に帰ってきています。アメリカ人と結婚したとかではないので(笑) 半年とまではいきませんけど。」
—いつからアメリカで、活動をはじめたんですか。
裕木さん「2005年からですね。ギリシャに留学をしたんです。授業が英語だったので、頑張って勉強しました。それで、野心ではないですけど(笑) オーディションを受けてみようと思ってロスに渡りました。」
—今回の作品では、プロデューサーから直接出演依頼があったと聞きましたが。
裕木さん「はい。まず、最初は電話で連絡がありました。英語圏で仕事の経験がある日本人の俳優を探しているということで。」
—アイスランドのホラー映画というユニークな作品ですが、出演を決めた理由はなんでしょうか。
裕木さん「出演依頼があったからです(笑) アイスランドで映画が作られていることもよく知らなかったですし。アイスランドというと夏は白夜になって神秘的なイメージもあって、そういう土地でどういう映画が作られるのか興味がありました。アイスランドのネイチャーなイメージとホラー映画という組み合わせが面白くて。あんな綺麗な所に住んでいる人が、ホラー映画をつくるという不思議さが出演した理由ですね。面白いじゃないですか(笑)」
—アイスランドに行ったのは、今回が初めてですか?
裕木さん「はい。」
—-『硫黄島からの手紙』はアイスランドで撮影したシーンもあったと聞きましたが。
裕木さん「私のシーンの撮影はワーナー・ブラザースのスタジオでしたので。硫黄島は石原都知事が、まだ島には戦死された方がまだ多く眠っているということで、撮影の許可を出さなくて。渡辺謙さんが、1日だけ硫黄島で撮影しました。あとの撮影はアイスランドなんです。」
—アイスランドで映画が作られているというイメージは、あまりないですけれども、本当に作っているんですか?
裕木さん「作っていますよ!全然知らなかったんですけど(笑) ヨーロッパ圏なので、センスはありますね。」

—作品の中で、ムカツク日本人夫婦が出てきますが、どの国の方なんですか?
裕木さん「ブラジルの日系の方です。お二人とも俳優さんです。男の方はTVドラマとかコメディっぽい番組に出演している方で、奥さん役の方は舞台女優です。でも、日本人の設定にしては、日本語が片言過ぎるところがあるんですけど(笑) それも含めて、ホラー・コメディとして、B級な感じが出ていいですね。」
—この作品は、ホラー・コメディと言ってしまってもOKですか!?
裕木さん「いけないと思います(笑) でも、笑って欲しいです。『毒々モンスター』とか、そっちのノリではないですけど、お芝居は真面目にやっていて。それを観ているお客さんはバカバカしくて笑ってしまう作品です。」
—誰がどうやって殺されるか楽しみもな感じもしますね。
裕木さん「どうして殺さなきゃならないんだろう?どうして、この観光客はイヤな連中なんだろう?という感じですね。」
—笑ってしまうくらい各国の民族性を貶していますよね。日本、ドイツ、イギリス、フランスと。特に、日本人とフランス人の描き方は最悪でしたね(笑) あのフランス人は、どういう方なんですか?裕木さん「彼はフランス語を喋っていますけど、フランス人ではなくて、イギリスに住んでいる中東系の方です。」

—撮影現場はいかがでしたか?
裕木さん「雨に降られたり大変でした。娯楽もないですし(笑) お酒が好きな人はずっとお酒を飲んでますし。日本と違ってパチンコみたいなものもないですし。時間潰しをするものがないんです(笑)」
—アイスランドの方は、普段は何をして時間をつぶしているんですか?
裕木さん「お酒を飲んでいるんです(笑) あとは、ライヴバーが沢山あります。だから演奏がとても上手なんです。アル中の方がすごく多いです。」
—撮影は40日間くらいと資料に書いてありましたが、どのくらい撮影には参加されたんでしょうか。ほぼ全編にわたって出ていらっしゃいますよね。
裕木さん「最初から最後までです。でも、途中、ロサンゼルスに一回帰って、リチャード・ギアのインタビューをして。 それでまたアイスランドに帰って撮影に戻りました。ほぼフルで参加しました。黙っているんだけれども、暗~く居るんですよね。隅っこの方に(笑)」
—役作りはどのように。髪をバッサリ切られたと書いてありましたが。
裕木さん「はい。役作りで髪を切りました。腐女子の設定だったので(笑)」
—腐女子の設定だったんですか!?その設定はご自分で?それとも監督と一緒に?
裕木さん「「腐女子の設定で」とは言われていないですけども、外見を気にしないような、黒ぶちのメガネをして、面倒くさいから髪を短くするような。でも、頭はよくて勉強するのは好きで。私の裏設定では格闘技マニアです。
それで、彼女はジムに通っているわけです。テコンドーとか。それで、誰かを倒したくてしょうがないという(笑) 多分、「2ちゃんねる」とかで毒を吐いているような。だから、自分のボスの前でも「この仕事つまんないんですよ」とか、本人に向かって言ってしまうような、毒を隠さない人なんです。」

—そこまで設定を考えて髪を。
裕木さん「そのほうが重くて暗い感じが、気持ち悪くいいだろうと(笑)」
—監督はどんな方でしたか?


裕木さん「もともとがプロデューサーなんです。ミュージックビデオとか撮っていますけど、長編映画の監督としては、今回が初めてだと思います。この作品のプロデューサーと同じ会社で、会社を共同経営しているみたいです。」
—この映画のプロデューサーは獄中で書いた本がヒットして儲けたり、ユニークな方が多いですね。
裕木さん「アイスランドの方はサーカスティックで面白いです。皮肉屋で(笑) でも、嫌味で差別しているんではなくて、人種ネタとかも言うし。アイスランドは国が経済破綻しちゃいましたけど、例えば子どものお金のことを、全く考えなくていんです。子どもの教育は無料ですし。良い大学はデンマークなんですが、そこの学費も全部負担してくれますし。 もし、今から私が医者になりたいと言ったら、その分の学費も無料なんです。その代わり、収入の半分くらいは税金ですけど。」
—良い国ですね。どうやったらアイスランド人になれるでしょうか。
裕木さん「アイスランド人と結婚するとか(笑)」
—監督は、何故こんなバカバカしい映画を撮ろうと思ったんですか?
裕木さん「映画は娯楽だからいいんです!(笑) そこが凄い。撮ろうと思い立って撮って。出演する人も、観る人も凄い。それがホラー映画の面白さだと思います。アメリカのホラー映画フェスティバルも、すごく面白かったです。」
—アイスランドの方は、捕鯨反対運動についてどう思っているんですか。
裕木さん「やはり人によって違います。アイスランドは土地柄、野菜とかが作れないので、何でも輸入しなくてはならいので物価がすごく高いんです。何を食べても1000円くらいかかる感じで。捕鯨に反対する人などは、私に「僕たちの国は自給できるものがなくて、食べるものは魚くらいしかない」と言っていましたね。つまり、他の魚も食べるけれども、捕鯨も止めてしまうと全て輸入に頼ることになってしまうと。彼らは、クジラというものがいて、それを獲って、それを食べているだけなのに、コルセットのためのヒゲを採るために、クジラを獲ってきたイギリス人が、なんで今になって捕鯨を反対するのかと。そういうこと(捕鯨)を続けてきた国だからこそ捕鯨を止めようという精神は素晴らしいことだと思うんですけど、だからといって、よその国を叩くのはどうなんだろうと思いますね(笑)」
—映画を撮影した真夏でも寒いんですよね?
裕木さん「寒かったです。コートを着てましたから(笑)」
—劇中に出てくる捕鯨船はどうやって調達したんですか?撮影期間中、借りたんでしょうか?
裕木さん「あの船はプロデューサーの持ち物です。古くなった漁船だったものを綺麗にして、スペインとかで観光遊覧船として売るために持っていたものを、今回の撮影に使ったんです。」
—撮影中はその船の中に泊まり込んだりしたんですか?
裕木さん「いえいえ(笑) ホテルに帰してください!使ってない船ですから電気が通じていないんです。なので、中に暖房とか水とかもあるわけじゃなくて。なかなか寒かったです(笑)」
—映画の大半が船の上というのは、かなり過酷な撮影環境ですね。
裕木さん「はい。でも、大きい船に(撮影が)移ってからは、船の甲板とか中とかも寒いんですけど、フィヨルドの一番奥の深いところに行って、錨を下ろしているので船が揺れないんですね。最初の小さい船の時が最悪で。記録さんとか文字通り青くなっていました(笑) でも、2・3日すると、体が慣れてくるからすごいなと思いました。最初のうちは、ランチとかも船の上で食べたくない状態でした。その中でも、アイスランドの役者さんたちは慣れているから、釣り竿とかを持ってきて「今日の夜ご飯を釣るわ」とか言って釣りをしていましたね(笑)」
—演技はアドリヴとか多かったんですか?
裕木さん「いえ。こういう映画なので、ここで血が出てとか、タイミングが大事なんです。」
—裕木さんは、アメリカなど海外でオーディションをどのくらい受けているんですか?
裕木さん「私がオーディションを受ける作品は、大作だけではなくて、学生さんの映画みたいなものも受けるんです。何もやらないよりは、「私はここにいますよ」とキャスティングの人に知ってもらうことのほうが大事なので。
私ができる役というのは、日本語訛りのある英語をしゃべる役か、日本語を完璧に喋る役か、すごく狭い役なんです。これが、日系人となってくると、日本語は片言で喋ることができる”フリ”ができればよくて、英語はネイティブに話せてということになって、(私が求められる役とは)決して被らないんです。なので、そんなに(私の演じられる役)というのはないんですけど、可能性があるものは全て受けます。」
—自分の強みと弱みが表裏一体なんですね。海外と日本のオーディションで違うことはなんでしょうか?
裕木さん「そうですね。日本と海外で大きく違うのは、実年齢を気にしないんです。レジメにエイジレンジって書いてあるんです。「あなたの演じたいエイジレンジは何ですか?」という意味なので、もし、私が「10から20歳を演じたい」と書いても問題無いんです。」

—その年齢に見えればいい。ということなんですね。
裕木さん「そういうことです。若い役であれば、若く見えなければ意味がないし。日本人でなくても、日本人に見えればいいし。私なんかは、日本人なんだけれども、香港人っぽいと言われたりするんでけども(笑) 「一重で、スっとした目の、分かりやすい顔のほうがいいだよね」と言われてしまうんですけど、「じゃあ、私は整形しなくちゃいけないのか?」と、一時期は真剣に悩みましたけど(笑)」
—海外ドラマで役を得るために整形する女性とか出てきますけど、ありうる話なんですね。
裕木さん「全然あります。演技力があっても、見た目で駄目と言われたら。」
—哀しい話ですよね。
裕木さん「映像だから、それはしょうがないんですよね。キャスティングの人に「あなたは、そう見えないから」と言われたら。」
—今後、日本の映画への出演は。
裕木さん「森山 未來さん主演、伊勢谷友介監督の『セイジ -陸の魚-』に出演しています。
—お仕事をする時は、どういう基準で選んでいるんですか?もしくは、こういった役を演じたいとかはありますか?
裕木さん「ほんとうにどうでもいいっていう感じです(笑) 自分で選ぶんではなくて、今回の場合は、この映画の出演依頼が私に来るんだ!?という感じで。話が来たことが嬉しかったですね。
役者というのは、やはり、選ばれるわけで。昔、高橋 伴明監督の『光の雨』に出演したんですけど、その時以来、誰かが私に「これ演ってよ」と言われたら、演ってみたほうがいいじゃないかという気持になって。キャスティングの人や監督が、「君じゃないよ」と言っているのに、ゴリ押しして役を獲っても、多分、観ている方もあんまり面白くないのかな~と思います。」
—最後に『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』をご覧になる方にメッセージをお願いします。
裕木さん「精一杯”Bitch”を演じました。笑っていただければ本望です(笑)」
—ありがとうございました。
『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』
6月4日(土)より、銀座シネパトス、新宿K’s cinema ほか全国順次公開
監督:ジュリアス・ケンプ / 脚本:シオン・シガードソン
プロデューサー:イングヴァール・ソルダソン、ジュリアス・ケンプ
音楽:ヒルマー・ウーン・ヒルマソン
出演:ピーラ・ヴィターラ、裕木奈江、テレンス・アンダーソン、
ミランダ・ヘネシー、ガンナー・ハンセン、他
配給・宣伝:アップリンク
2009 年 / アイスランド / 88 分 / 1:2.35 / 英語、アイスランド語、日本語、フランス語
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/rwwm/


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