TVアニメ「うさぎドロップ」放送開始記念! 亀井幹太監督インタビュー 



7/7(木)から、フジテレビ“ノイタミナ”にて放送がスタートした、TVアニメ「うさぎドロップ」。宇仁田ゆみの人気コミックをアニメ化。OPテーマをPUFFYが、EDテーマをカサリンチュが担当。さらに、OP映像を、森本千絵が、nicographicsの泰永優子、イラストレーター・大塚いちおらと共に、「うさぎドロップ」のために特別に結成したクリエイター集団「goen°drops」が担当。そして、ED映像に、「魔法少女まどか☆マギカ」で魔女・異空間デザインなどで話題となった映像作家ユニット「劇団イヌカレー」が参加するなど、数々の話題で注目されている本作。
今回、エンタジャムでは、放送開始直前インタビューとして、TVアニメ「うさぎドロップ」の亀井監督にお話を伺ってきました。

—初めて原作を読まれた時の印象と、監督をすることになった経緯を教えてください。
亀井監督「プロデューサーから連絡があって、大まかな概要を聞きました。まずは、原作コミックを読ませていただきました。読んだ時は、とにかく続きが読みたい!と思いました。私には子育ての経験がないので、子育ての苦労というのが全くわからない訳で、世間的に大変ですよとか、“型”通りの大変さということしかわからない。原作の宇仁田先生は、おそらく子育てをして、その中で大変な部分を敢えて重くしないで、軽めにアプローチをしてユーモアの部分というか、楽しい部分を抽出しているなという印象がありました。だから、読む側も気疲れすることなく、面白く読めるじゃないかと思います。」
—なぜ、亀井監督にオファーがきたのでしょうか。
亀井監督「大吉は30歳で、私はもう一回り年上なのですが、その歳で結婚もしないで、子供もいないので、大吉っぽいんじゃない?みたいな。直感というか、そういったものが、オファーされた理由かなと思っています。」
—原作を読んだ時に、大吉の行動が、少し唐突感というか、リアリティーがないような気がしました。アニメ化するにあたり描き方に注意した点はありましたか?
亀井監督「(大吉を)自分のことに置き換えてみると、仕事柄というのもあるんですが、サラリーマン経験がないもので、時間の融通がけっこうきくんです。子育ての大変さは置いておいたとして、時間の都合はつくなというのはあったんです。原作では、大吉は部署を異動して時間をつくるんですけども、その部分は脚本家を含め、みんなで、ちょっと展開が急すぎるし、これはファンタジーとして描くには無理があるなという葛藤の部分はありました。観ている人にも「なるほど」と思ってもらえるような状況にはもっていっているつもりです。」

—第一話のお葬式のシーンで、家族や親類の言動が原作よりキツイ感じがするのはそのためですか。
亀井監督「やはり、大吉がりんを連れて帰ろうと思うきっかけ、そして、りんが何故、大吉を選んだのかという部分ですよね。ちょっとあざとい部分もあるんですけど、少し分かりやすく、”そういう状況”を作ってあげて、二人の接点をもたせてあげたいなというと思いました。」
—アニメ化するあたり、一番注意している点は何でしょうか。
亀井監督「TVアニメなので、いろんな方に観てもらいたいんですけども、やはり、コミック原作のアニメ化ということを考えれば、原作ファンが一番大事だと思っています。アニメとしての描き方ということでは、コミックのコマとコマの間を補完しようみたいな感じですね。本来であれば、そういったことは読者が(原作を)読んで、頭の中で咀嚼して楽しむべきものなんでしょうけど、押しつけにならないように注意しながらも、原作の持ち味、つまり、ここはこういうことがあったであろうという所を膨らませていった感じです。あと、この話はりんを引き取って1年間の話なんです。なので、四季というのを画面から感じとれるように、背景や色見を変えてあります。」

—第一話は、どういった点に特に力を入れたのでしょうか。
亀井監督「とにかく、この第1話というのが地味でしょうがないんです。大吉の祖母の家で、葬式の話ですからね。日本家屋ということもあるので、時間の流れがゆったりと描けるのではないかと思いました。原作の第1話を、まるまるTVの第1話でやっていますから。話の膨らましようはいくらでもあったんですけど、その部分での感情の流れといいますか、親戚連中の感覚というのも、そういう所で積んでいけば、第1話のラストに向けて納得してくれるかなと思いました。」
—今、仰った日本家屋ですが、すごく存在感というか、趣がありました。背景にはかなり力を入れたんでしょうか。
亀井監督「美術さんの努力の賜物としかいいようがないです。TVシリーズとは思えないクオリティーの描き込みだと思います。」

—大吉とりんでは、当然、身長差があります。目線によって意味が変ってくることもあると思うのですが、アングルを決める時に迷ったりすることはありませんか?
亀井監督「大吉とりん、どちらから見た方がよりお互いの感情を表現できるのかと思った時は、全部という訳ではないですが、りんの視線から見た大人の世界にします。」
—原作では大吉とりんの2ショットの画が二人の関係を説明するために印象的に使われています。今回のアニメでは、どのように表現していますか?
亀井監督「リアルにやってしまうと、大吉を入れ込むとりんは映らないんです。そこはアニメというか、方法のひとつとして、この身長差を”詰めて”、そこに普通の背景を合わせると合わなくなってしまうので、グラデーションの背景といいますか、イメージを背景にして二人の会話の距離感をそれで表現しています。そのさじ加減は、行き当たりばったりですけど」

—原作の第1話に比べて、アニメの第1話では大吉とりんの距離感が、少し離れている感じがしますがいかがですか。
亀井監督「先程言ったことと重なる点もあるんですが、大吉は、子供が嫌い、女性苦手みたいなところがあるので、いきなり話しかけてりんと仲良くなるということは絶対できないと思いました。第1話でたっぷり時間を使っているというのは、セリフに頼らずに、間というか、ちょっとした仕草とか、そういうところでみせていきたいなと考えていたところはあります。そういう間から、二人の距離感を視聴者が感じてくれればいいなという感じです。」
—お話を聞いていて、すごく雰囲気というか、空気感を大切にされているという感じがしました。今回の第1話では、大吉のお母さんの声が印象的でした。何か、一瞬で実際に実家に帰ってきたような感じがしました。あの声優さんはどういう方なんですか?
亀井監督「見た目も幸子さんのような方です」

—大吉の家族の声優のキャスティングはどのように決めていったんでしょうか。
亀井監督「私はメインの大吉とりんのキャストを決めただけで、あとは音響監督さんにお任せしました。でも、どなたのキャスティングもドンピシャでした。大吉の妹、カズミも、聞いた瞬間、カズミは絶対にこんな声だろうと思いました。あと、セリフについては、アニメ的な気張った喋り方はできるだけ排除しています。大吉の場合は、性格によるところもあるんですが、朴訥な感じというか、そういうのを意識して演じていただいています。」
—小津安二郎の映画が好きだったりしますか?何か、家族や親戚が集まっている時の感じが、何か彷彿とさせるものがあったんですが
亀井監督「好きですね。あと、溝口健二監督映画とか。昔ながらの年寄りの方たちの会話というか、そこの辺りの構成は、ライターの岸本さんの功績も大きいです。」

—“りん”を演じている松浦愛弓さんは、どのようにキャスティングしたのでしょうか。
亀井監督「りんのキャスティングには時間がかかりました。最初は、りんと同じ6歳の子にとお願いして、いろんな子役の方にお願いしたんですけども、演技と子供っぽい喋り方というバランスが非常に難しかったんです。声は当然6歳なので子供なんですが、セリフに感情を乗せて喋るとなると、ちょっと難しい部分があって。下は5歳から、上は12歳くらいまでお願いしました。でも、12歳くらいまでいくと、今度は芝居っ気が多くなってしまって。」
—それで9歳の松浦さんに決まった訳ですね。松浦さんは、どんな方なんですか?
亀井監督「ちょうど第4話のアフレコがあったんですけど、ものすごい長丁場だったんですよ。4時から10時過ぎくらいまでかかってしまって。途中で、本当に心配になってきたんですよ。緊張の糸が切れてしまうんじゃないかとか。イヤになってしまうんじゃないかとか。でも、そんなことはなくて、最後までビシッと演じていただいて、感動しました。最後までちゃんと演じていただいて、最後は笑顔で「お疲れさまでした」と言って帰っていきましたからね」
—プロフェッショナルですね!
亀井監督「本当にそうです」

—土田さんはいかがですか。
亀井監督「りんの役が決まった後に、土田さんにはデモテープをいただきました。テープを聴いた瞬間に『これ、大吉だよね」という感じでした。スタッフの中でも、すんなり決まりました。」
—原作の宇仁田さんとはどのようなやりとりをされたんですか? 案を持っていってイエス・ノーをもらう感じですか。
亀井監督「はい。それ以外に、アニメに出てくる服装とかの設定をいただいたりとか。こういう資料が欲しいなとお願いすると、描いてきてくれるという感じです。本当にありがたいです。」
—「うさぎドロップ」では、日常が丁寧に描かれているのが魅力のひとつだと思いますが、人の日常の所作を描くときはどのような点を注意していますか。
亀井監督「日常の動きは地味で、大変なだけなんですよ。当たり前の動きになって当たり前なんです。でもその当たり前が、すごく大変なんです。通常であれば、スケジュール的な問題もあって、端折ってしまうこともあるんですけども、そういうことをしてしまうと、この『うさぎドロップ」自体が意味がないかなという覚悟を持ってやっています。」

—そうすると、全編緊張の連続ですね。
亀井監督「胃が痛いです」
—最後に、これからアニメをご覧になる方へメッセージをお願いします。
亀井監督「先程も言ったように、第一話が地味なんです。でも、第一話を観て、あきらめないでください!2話以降、りんが子供らしく走りまわりますし、大吉がりんに翻弄されてバタバタするところも面白いです。ちょっとシリアスな展開もあったり、基本的に大きな事件は起きないんですけども、二人にとっては大きな事件が、随所にあるので、そういうところに注目しながら、温かい気持ちになっていただけたらと思います。」
—ありがとうございました。
TVアニメ『うさぎドロップ』
7月7日より毎週木曜24:45~フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送※初回のみ25:00~放送予定
関西テレビ:7月12日より毎週火曜25:58~(初回のみ26:23~予定) 、東海テレビ:7月14日より毎週木曜26:05~
BSフジ:8月6日より毎週土曜25:30~(毎月最終週のみ26:00~放送予定)
公式サイト:http://www.usagi-drop.tv
(C)2011 宇仁田ゆみ/祥伝社/アニメ「うさぎドロップ」製作委員会



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