TVアニメ「ダンタリアンの書架」先行上映会 レポート

「アスラクライン」「ランブルフィッシュ」などライトノベル界きっての実力派・三雲岳斗の新たな代表作との呼び声も高い小説「ダンタリアンの書架」が、「新世紀エヴァンゲリオン」「天元突破グレンラガン」など大ヒット作・衝撃作を連発するガイナックスにより、ついにアニメ化。7月からの放送開始を記念し、6/29、「ダンタリアンの書架」の先行上映会と、キャスト・スタッフによるトークイベントが開催された。

写真 左から
上村泰監督　小野大輔さん　沢城みゆきさん　武田康廣プロデューサー(GAINAX)
ゲストとして、ダリアン役の沢城みゆきさん、ヒューイ役の小野大輔さん、上村泰監督、そして武田康廣プロデューサーが登壇し、「ダンタリアンの書架」の制作にまつわるエピソードや、作品の魅力について語った。
ゲストがステージに登場すると、客席からは割れんばかりの拍手。スコットランドの民族衣装で何故か登場した武田康廣プロデューサーは、この衣装について「スコットランドが大好きで、一昨年に開催されたコスプレ忘年会で着るために、スコットランドに発注した特注品です。なかなか着る機会がなかったので着てきました。」とガチなスコットランドマニアであること明かし、会場の笑いを誘っていた。

武田プロデューサーの民族衣装という最大の謎が氷塊したところで、トークは質問コーナーへ。アニメ化に際して、映像や雰囲気は何を意識して作っていったのか。という質問に、上村監督は「ヨーロッパの血なまぐさい感じがする”おとぎ話”的な雰囲気」を意識し、「決して派手ではないけれども、物語性、精神性といった、曖昧なものを表現しようとした。」と本作の狙いを語った。
また、今回のアニメ化にあたり、原作では舞台がイギリスとは設定されていないものを、今回は明確に前世紀初頭のイギリスと設定し、その時代性を再現するために、マナー、風習、階級社会での人の名前の呼び方などを、スタッフ自らが体験して勉強したことや、実際にイギリスに行き、綿密なリサーチを行ったことなど、本作に賭けるスタッフの並々ならぬ気迫が伝わってくるエピソードが武田プロデューサーから明かされた。

原作とアニメの違いについて。という質問に、小野さん「そうですね。難しいことは沢城さんが・・」と、小野さんが沢城さんに水を向けると、沢城さんがすかさずツッコミを入れるという、見事な連続コンボ技を披露。同じ質問に対して沢城さんは「原作小説は、キャラクターたちの行動の意味に読者が想像の翼を広げる余地があるんです。読む側が行間を想像してあげることで、作品自体の精神性を深いところまで触れることができる作品だと思いました。アニメでは、その精神性自体は変わらないんですが、アニメの動きや音楽や声によって、視聴者の五感に伝わりやすくなっているのが、小説とアニメの違いだと思います。」と語った。
沢城さんが、見事にアニメ版の魅力について語った後、MCから、上村監督が「ダリアン役は沢城さんじゃないと駄目だ」と言っていたことが明かされ、その理由について上村監督は「ダリアンは、結構、お口が悪いというか・・。」と歯切れの悪い切り出し方をすると、沢城さんも不安気な表情に。それを慌てて打ち消しながら上村監督「(ダリアンは)いろんな暴言を言ったり、いろんなものをいつも食べているし、でも、沢城さんがそれを演じると、どこか”品”が残るんです。」とキャスティングした理由を、お題に答える落語家のように見事に締めくくった。
最後に作品の見所、視聴者の皆さんへのメッセージ
沢城さん「見所は、私がいかに普段の小野さんとの関係を断ち切れたか…(笑) というのは、演じていると、(小野さんと)呼吸感が似てしまうんです。第1話ではダリアンとヒューイの初対面感を大事にしたので、そこを見てください。」
小野さん「監督も「沢城しかいない」と思っていただいたようで、僕もそう思います。辛辣な言葉が、自然と空気のように(笑) もう、これがないと生きていけないと思えるくらいのナイスクオリティーです(笑) 見所として、あえてひとつ挙げるのであれば、書架の鍵を開けるシーンです。そのシーンでキーワードになるセリフは、僕は震えがきました。皆さんも是非観ていただいて、「ダンタリアンの書架」だと思っていただける瞬間だと思いますので、お楽しみください。」
『ダンタリアンの書架』
2011年7月15日よりテレビ東京ほかにてTVアニメ放送開始!!
公式サイト：http://dantalian.tv/
(C) 2011 三雲岳斗・Gユウスケ・角川書店／ダンタリアンの書架製作委員会