映画レビュー 過激な内容が原因で日本での公開が危ぶまれた“いわくつきの作品”『アジアの純真』



2011年度ロッテルダム映画祭にて賛否両論を巻き起こした片嶋一貴監督作品。双子の姉を殺された強気な在日朝鮮人の少女(韓英恵)と、カツアゲされているところをその姉に助けられたものの殺人事件の現場では彼女を救えずにただ見ているだけだった弱気な少年(笠井しげ)。この二人の主人公の逃避行を静寂なタッチで描く。

二人の主人公が毒ガス兵器イペリットを手に入れ、「世界を変える」ことを目的に毒ガス殺傷テロ事件を引き起こしていく。この過激な内容が原因で日本での公開が危ぶまれ、反日映画というイメージが先行してネットでは叩かれたりした“いわくつきの作品”でもある。でも、劇中で描かれるテロ模様は娯楽性を追求した見せ物として描かれている感じではないし、ロードムービーとしてのイメージが強いため、過激な印象は薄い。逆に、地味で閉塞的なイメージが強いのである。少年と少女の世の中に対する怒りが感じられ、これを通じて「何が善で何が悪なのか?」を観る者に問う問題作と言いたい。
タイトルからはPUFFYの同名ヒット曲をすぐさま連想する方が多いと思うが、劇中では笠井と韓がカラオケで歌っているし、エンディングでも笠井&韓歌唱のパンク風にアレンジ
されたヴァージョンが使用されている。
『アジアの純真』
10月15日(土)より新宿K’s cinemaにてロードショー!
11月5日よりシネマスコーレ(名古屋)
11月中旬より第七藝術劇場(大阪) 他、全国順次公開!
出演:韓 英 恵、笠井しげ、黒田耕平、丸尾丸一郎、川田 希、澤 純子、パク・ソヒ、
白井良明(ムーンライダース)、若松孝二
エグゼクティブプロデューサー:小曽根 太、石川 始
プロデューサー:木滝和幸、門馬直人
ラインプロデューサー:安藤光造
撮影:鍋島淳裕 照明:堀口 健 録音:臼井 勝 美術:佐々木記貴
音楽:ken sato 編集:福田浩平 VFX:柳 隆 助監督:茶谷和行
スケジューラー:江良 圭
配給:ドッグシュガームービーズ
企画・制作プロダクション:ドッグシュガー
製作:ドッグシュガー、ロード・トゥ・シャングリラ、HIP
2009年/35mm/108分/白黒
脚本:井上淳一
監督:片嶋一貴
http://www.dogsugar.co.jp/pureasia
(C) 2009 PURE ASIAN PROJECT

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