映画レビュー 『アイアン・スカイ』

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『スタートレック』の本格的パロディー作品『スターレック 皇帝の侵略』でお馴染みのフィンランド人監督ティモ・ヴオレンソラが手懸けたSFアクション・コメディー。

2018年、第二次世界大戦後に地球から逃亡したナチスの残党たちは地球に復讐するべく月の裏側に第四帝国を築き、軍備を増強していた。黒人モデルのワシントン(クリストファー・カービィ)は、再選を目指すアメリカ大統領による人気取り政策によって月面に送り込まれるが、ナチスの残党に拉致され、月面ナチスの案内役を務めさせられる。やがて、月面総統閣下は地球への侵略を開始し、アメリカを中心に結成された地球防衛軍との壮絶なバトルの火蓋が切って落とされることに……。

低予算、ブッ飛んだストーリー、奇抜な設定、劇中でのおバカなセリフが異質である本作は、それらだけを考慮すると「チープなSFコメディーでは?!」と思うだろうが、随所に散りばめられている社会風刺や映画のパロディーが面白さを引き立て、肝心な特撮シーンは大作SF映画にも引けをとらないほど良く出来ているため、低予算であることを忘れさせるほどだ。中盤では見せ場であるバトルシーンは迫力満点であるため、観る者をとことん楽しませてくれる。

コメディー作品としては、大爆笑するほどのものではないが、過激な下ネタをはじめとする度が過ぎたおバカシーンを全面に押し出すようなことをしていないのが良心的であるが、もっと笑わせてくれるぐらいのギャグやおバカシーンを用意しても良かったのでは?!

全SF映画ファン必見であると同時に、風変わりな作風を好む方にもオススメしたい本作。既に前日譚と続編の製作が決定しているということで、我が国での公開に早くも期待大だ!

レビュアー:佐々木貴之

『アイアン・スカイ』
9月28日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか、全国ロードショー 

月面ナチス VS 地球防衛軍。こんな戦い見たことない!!
2018年、再選を目指すアメリカ大統領により、選挙PRのために月に送り込まれた黒人モデルのワシントンは無事に月面に上陸。しかし、すぐに鉤十字を身にまとう月面ナチス親衛隊クラウスに拉致されてしまう。なんと彼らは、第二次大戦後地球を後にしたナチスだった!彼らは月へと逃亡し、地球への復讐を果たすべく月の裏側に第四帝国を築き、軍備を増強していたのであった。機は熟した。ワシントンをガイドに、月面総統閣下はいよいよ地球への侵略を開始する。地球ではアメリカを中心に急遽地球防衛軍を結成。前人未踏の宇宙規模の戦いが今、始まる!

監督:ティモ・ヴオレンソラ(「スターレック 皇帝の侵略」)
音楽:ライバッハ『スパイダーマン』
出演:ユリア・ディーツェ、ゲッツ・オットー、クリストファー・カービー、ウド・キア
字幕翻訳:高橋ヨシキ
字幕監修:町山智浩
配給・宣伝:プレシディオ
協力:松竹

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